「虹色のチョーク」知的障がい者と歩む小さな町工場の真実と感動の件

スポンサーリンク
日本理化学工業
スポンサーリンク

多摩川沿いの特別な工場

川崎市高津区の多摩川沿いには、1937年創業の文具メーカー、日本理化学工業が存在しています。ここで作られているのは、ダストレスチョーク。炭酸カルシウムを主成分とするこのチョークは、なめらかな書き心地で、人体にも優しいという特性があります。日本工業規格(JIS)に合格したこの商品は、国内でのシェアが5割以上と非常に高いのです。

ちなみに、ダストレスチョークとは、通常のチョークが発生させる粉を極力抑えたもの。炭酸カルシウムとは、石灰石を主成分とする無色の結晶で、日常の歯磨き粉などにも使われるものです。

特別な労働者たち

この工場の特別な点は、製品の質ではありません。それは、障がいを持つ人たちが働く姿です。実は、この工場の従業員84人のうち、7割を超える62人が知的障がい者なのです。

休憩時間には、障がいを持つ従業員と健常者が共に談笑し、仕事の時間には真剣な表情で取り組む姿が見られます。ここでは、障がいの有無に関係なく、誰もが自分の役割を果たし、満足感を得ています。

障がい者雇用の背景

障がい者の雇用を始めた背景には、約60年前のある出来事が関係しています。ある養護学校の教師が、「知的障がい者の平均寿命は短いので、一度だけでも働く経験をさせて欲しい」という訴えを、当時の大山泰弘会長に持ちかけたことがきっかけでした。

当初、会社はこの提案を断ったものの、教師の熱意に触れ、2週間の就業体験を受け入れることに。この体験を通じて、障がい者たちの働く姿勢とその影響に感銘を受け、会社全体の雰囲気が変わっていきました。

関連:ステージ活動を通して地域貢献目指す「はちみつクラッチ」の件

働くことの意義

大山会長とその後を継いだ大山社長は、障がいを持つ社員たちが工場での仕事を通じて得られる喜びや満足感について、深く考えるようになりました。

ある日、大山会長は禅寺での法事に出席し、住職から「人間の究極の幸せは、①愛されること ②褒められること ③役立つこと ④必要にされること」という言葉を受け取りました。この言葉を通じて、大山会長は工場の変化と障がい者たちの働く意義を理解しました。

実際、日本理化学工業で働く障がいを持つ社員だけでなく、他の社員も、障がいを持つ社員から感じる敬意や感謝を通じて、自分の役割や価値を感じています。

結論

「虹色のチョーク」は、単なる町工場の物語ではありません。それは、人々が互いに尊重し合い、共に成長していく様子を描いた、深いメッセージを持つ物語です。そして、その物語を通じて、働くことの真の意味や価値、そして人としての存在意義を再認識することができます。

この工場の例を通じて、仕事の成果や収入、楽しさだけが働く意義ではなく、他者との関わりや認識を通じて感じる満足や幸福感が、働くことの本質であることを理解することができます。

企業
スポンサーリンク
シェアする
matomeをフォローする
スポンサーリンク

コメント