北海道大学を含む国際研究グループが、地球に落ちてきた隕石から生物の遺伝子に欠かせない核酸塩基の主要な5種類全てを初めて検出したと発表しました。これにより、40億年ほど前の地球に隕石などの天体が飛来し、生命の材料が届いた可能性が示唆されています。この成果は、生命起源の解明や宇宙での核酸塩基形成のメカニズム、遺伝機能が生じる過程の理解に大きく貢献するものとされています。
1. 隕石と生命起源の関係性
地球に落ちてくる隕石は、鉄や石などの様々なタイプが存在します。特に炭素質隕石は太陽系最古のものであり、生命を構成する有機化合物が含まれていることが知られています。これにより、地球に届いた隕石が生命の材料となった可能性が考えられてきました。
2. 核酸塩基の重要性と検出の困難さ
生物の遺伝情報を担う核酸には、デオキシリボ核酸(DNA)とリボ核酸(RNA)があります。これらの核酸は、ウラシル、シトシン、チミン、アデニン、グアニンという5つの主要な塩基で構成されています。これまでの研究では、宇宙空間で光化学反応によってこれらの核酸塩基が形成される可能性が示唆されてきました。しかし、実際の炭素質隕石からは、これらの核酸塩基のうちウラシル、アデニン、グアニンのみが検出されていました。
3. 新たな研究成果:隕石からの核酸塩基の検出
このため、研究グループは感度を高め、抽出法を改善した独自の分析法を用いて、オーストラリアに落下した「マーチソン隕石」を含む3つの炭素質隕石から核酸塩基の検出を試みました。その結果、マーチソン隕石からは主要な5種類の核酸塩基を初めて検出することに成功しました。さらに、他の2つの隕石からもそれぞれ3種類と4種類の主要核酸塩基が検出されました。また、初めて検出されたのは10種類の核酸塩基であり、これには主要な5種類の他にも脇役として知られる塩基も含まれていました。
4. 生命起源解明への重要性と今後の展望
地球に生命が誕生する前に、宇宙から核酸を形成するために必要な成分が届いた可能性や、それが遺伝機能の始まりにつながった可能性について、この研究成果は重要な手がかりとなります。さらに、研究グループは探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った炭素質小惑星「リュウグウ」や米国の探査機「オシリスレックス」が持ち帰る予定の炭素質小惑星「ベンヌ」の物質を分析する計画を立てています。これにより、より詳細な核酸塩基の解明や生命起源のメカニズムに関する知見が得られることが期待されます。
5. まとめ
北海道大学などの国際研究グループによる研究では、隕石から生物の遺伝子に欠かせない主要な5種類の核酸塩基を初めて検出しました。この成果は、生命の起源における重要な手がかりとなり、宇宙での核酸塩基形成や遺伝機能の生じる過程の解明に大きく寄与するものです。今後の研究では、さらに多くの隕石や炭素質小惑星の分析が行われ、生命起源の謎に迫る重要な知見が得られることが期待されます。
番組:カズレーザーと学ぶ。
コメント