はじめに:日本一危険と言われる投入堂へ
日本全国には数多くの美しい自然と歴史的建造物が点在しています。その中でも、特に注目すべきは鳥取県中部に位置する三徳山にある、投入堂と呼ばれるお堂です。なぜなら、投入堂は日本で最も危険な国宝と呼ばれているからです。ここでは、その投入堂の魅力と、訪れるまでの挑戦的な道のりについて詳しく語っていきましょう。
投入堂と三佛寺
投入堂が立つ場所は、標高約900mの山岳寺院、三佛寺の中です。山の斜面を利用した境内にはいくつかのお堂があり、投入堂はその奥之院にあたります。投入堂という名前は、「三佛寺の開祖が仏堂を手のひらに乗るほどに小さくし、かけ声とともにこの岩窟に投げ入れた」という伝説が由来となっています。そのため、名前の由来からも投入堂のユニークな存在感が伺えます。
登山のスタート:六根清浄と輪袈裟
訪れた参拝者は、「六根清浄」と書かれた輪袈裟を身に着け、修行者として山を登ります。「六根清浄」とは、仏教の教えで「六つの感覚器官(目・耳・鼻・舌・身・意)を清浄に保つ」という意味。つまり、精神を清め、自然と一体になる心構えを示しています。この輪袈裟を着ることで、参拝者は自然と調和しながら、心身を整えて登山への挑戦を始めることができます。
山への入山:装備と覚悟
登山を始める前に、まず入山届けに名前を記入します。ただし、ここで注意しなければならないのは、装備の確認です。特に足元は重要で、金具の付いていない登山用シューズが推奨されています。また、有料でわらじのレンタルを利用することも可能です。「わらじで登山?」と驚くかもしれませんが、これが意外にも歩きやすくて好評なのです。
厳しい道のり:かずら坂とくさり坂
登山の始まりからしばらくすると、最初の難所、かずら坂が現れます。急勾配の坂を木の幹を使って這うように上るため、一般的なハイキングとは一線を画しています。その後、鎖だけを頼りに垂直の坂道を上るくさり坂も待ち受けています。この部分は特に危険で、一歩間違えば命の危険すらあります。しかし、この厳しい道のりを乗り越えることで、訪れる人々は投入堂への感動をより一層高めることができます。
景観と安全:文殊堂からの眺望
くさり坂を登りきった先には、文殊堂というお堂があります。ここからの眺望は絶景で、遥か彼方に大山が見えます。しかし、手すりや安全柵はなく、高所恐怖症の方は特に注意が必要です。
投入堂への最終段階:観音堂と胎内くぐり
登山の最終段階で、観音堂が現れます。観音堂は岩と建物の間が洞窟のようになっており、ここを通る参拝者は、胎内くぐりの体験ができます。これは、三徳山が輪廻転生が体験できる道であることを象徴しています。
投入堂の到着と感動
観音堂の裏の洞窟をくぐり、ようやく目の前に投入堂が登場します。しかし、断崖に寄り添うように立っているため、中に入ることはできず、近くから見上げることしかできません。しかし、険しい道のりを経て初めて見る投入堂の美しさは、感動の一言に尽きます。
参拝の後は三朝温泉で癒しを
三徳山参拝の後には、約6km先にある三朝温泉で心身を癒すことが推奨されています。三朝温泉は、三佛寺参拝の前に心身を清める場所でもあり、また参拝後には筋肉の疲れを癒すリラクゼーションスポットとして利用できます。その名の通り、「三朝」は朝の三度、温泉に浸かると良いという伝統的な信念に基づいています。湯治の文化も残っており、日本の古き良き風情を感じることができます。
危険と美しさが交錯する投入堂
投入堂への道のりは、確かに困難と危険が伴います。しかし、それらは投入堂への感動を高め、訪れる人々に深い達成感をもたらします。その危険と美しさが交錯する空間は、自然
と歴史、そして人間の精神性が交わる特別な場所です。
最後に
三徳山への訪問は、ただの観光地巡りではなく、自己の内面と向き合う旅とも言えます。その最奥に位置する投入堂は、厳しい自然との共存の中で、私たちに自己を見つめ直す機会を提供してくれます。さあ、自然と共にある、日本一危険な場所に立つ国宝、投入堂への挑戦を始めましょう。
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